2023.09.08

Column #7 有酸素運動と無酸素運動による体調管理が、なぜビジネスに生きるのか?

日常的に運動していますか?筋トレやウェイトリフティングを定期的にしていますか? 運動をした後の、あの心地よい疲れ。その後の熟睡と筋肉痛を最後に感じたのはいつですか…?前回のColumn #6 『ブランドイメージ向上につながる「ウェルビーイング経営」とは?』では従業員の健康とウェルビーイングが個人、そして企業としてのパフォーマンスにつながることに触れました。今回はより健康面にフォーカスし、有酸素運動と無酸素運動がもたらす効果を見ていきます。

有酸素運動と無酸素運動とその効果

有酸素運動は文字通り酸素を取り込みながら身体の大きな筋肉を一定時間以上動かしていく運動で、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ダンス、水泳などが広く親しまれています。通勤経路や手段によっては、ウォーキング、ランニング、サイクリングなどを日常的に通勤時に取り入れている方も多いかと思います。有酸素運動の効果としては血行の促進、心筋の強化、コレステロール値の改善、減量、代謝の改善、血圧を下降させる、メンタルヘルスの向上などがあげられます。
一方、無酸素運動のエネルギー源は酸素ではなく、筋肉にあるグルコースやグリコーゲンです。有酸素運動よりも負荷がかかるので、結果として有酸素運動よりも短時間になります。無酸素運動の例としては、短距離の力走または力泳、ウェイトリフティング、HIIT(ヒット:高強度インターバルトレーニング)があります。

無酸素運動の効果も有酸素効果と同様に、血行の促進、心筋の強化、コレステロール値の改善、減量、代謝の改善、血圧を下降させる、メンタルヘルスを向上させます。異なるのは、無酸素運動が筋肉を増強させる点と、血糖とインスリン抵抗性も改善させる点にあります。

有酸素運動と無酸素運動の組み合わせ

有酸素運動も無酸素運動も、定期的な身体活動はどちらも健康につながるものです。WHOのガイドライン「身体活動に関する世界行動計画2018-2030」によると、下記の非感染性疾患や危険因子の予防効果が十分に確立されています。

<予防効果が得られるもの>
・心疾患
・脳卒中
・糖尿病
・乳がん、結腸がん
・高血圧
・過体重、肥満
・メンタルヘルスの改善
・認知症発症の遅延
・生活の質(QOL)向上
・ウェルビーイング向上

最近の研究では、有酸素運動と筋トレなどの無酸素運動のコンビネーションが全死因死亡率を下げることが分かってきています。週に1-2日程度の短時間の筋力トレーニングを有酸素運動に加えるだけでも効果的で、有酸素運動か無酸素運動のどちらかの場合に比較して、この2種類の運動のセットがより効果的だということが分かってきています。

研究によれば、有酸素運動と週に1-2回の筋トレを行ったグループが、運動をしなかったグループに比べて41%死亡率が下がり、有酸素運動だけのグループが32%、無酸素運動だけのグループが9%下がったとのことで、有酸素運動と無酸素運動のコンビネーションの効果は明らかです。

運動はメンタルヘルスにもつながる

テクノロジーが日々進化する現代社会で生きる私たちに、ストレスをどうやって解消していくかはライフスタイルを向上させる上で重要です。運動することで分泌されるドーパミンやセロトニン、コルチゾール、テストステロン、エストロゲン、エンドルフィンは気分を上昇させてくれる優れもの。抑うつ状態を緩和したり、良い眠りに誘ったり、タンパク質代謝を促したり、筋肉を育てたり、更年期障害の症状を和らげたり…メンタルヘルスの観点からも運動を取り入れるべき習慣であることがわかります。運動することで心がすっきりすると、良いアイデアが浮かび、仕事へのモチベーションが上がります。こういった効果からも運動すること自体がビジネスにとって有用です。

もしもこれから運動を始める、またより効果が得られる運動を探している方は、せっかくなら有酸素運動と無酸素運動のセットを始めてみましょう。ただ、継続できないようなやり方はNG。通勤時間に取り入れたり、ライフスタイルに合わせて組み込んだりするなど、まずは気負わずに運動を始めてみることが大切です。みなさんにとって一番楽しい方法で無理なく、そしてできるだけ効果的に運動を取り入れ、心身の健康と共に仕事へのモチベーションを上げていきましょう。

参考文献:Health, “Combining Strength Training and Cardio May Help You Live a Longer, Healthier Life”by Kaitlin Sullivan、WHO「身体活動に関する世界行動計画2018-2030」

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